2020年6月27日|何を教えるのか?

悩んでいる。生徒たちは音楽でこれから音大に行きたいわけでも、飯を食っていきたいわけでもない。将来の夢は別にあるだろうし、なんならお母さんに言われてるからなんとなく来ているくらいの感じなのだと思う。

と、なると、この音楽教室では何を教えればいいのだろう?もちろんピアノの弾き方、楽譜の読み方、音の聴き方。これだけでいいのだろうか?

この教室では「出来ないことはさせない」だから「無理って言わない」という【約束】を一番初めにする。もちろん目の前の課題に直面したときに「あ、無理!」っていう子もいるし気持ちもよおくわかる!のだが、なるべく機嫌よく前向きにトライできるように促していく。

「座力」という言葉があって、これは読んで字のごとく「座っていられる力」なのだが、これってかなり難しいことみたいだ。しかも集中をもって座り続けるというのはかなり根気のいる作業らしい。そのため、たしかにピアノを習う=座力・集中力をつけるというのは納得できる。これから大学までは勉強しないといけないわけだし、そのあともデスクワークが必要だと思う。

絶対音感、はどうだろう?わたしは基本的には相対音感で、楽音やよっぽど混ざりけのない音(クラクションやサイレン、エレベータの音とか)は絶対音で取れる。コーヒーの焙煎の時の音も混じり気が少ないからドレミで聴こえる。その他の音は部分的に聴こえる。この力はやっぱり音楽をやるには便利だと思う。自分の好きな曲を演奏できるって、もの凄くハッピーなことなんじゃないかなって。水道の蛇口の音、環境の色々な音がドレミで聴こえるようになるってどういうことかというと、どういう音で構成されているか理解できるようになることだと思う。決して単音ではないというのがみそだ。そういった超能力みたいなものよりもさらに実用的なものとしては、語学のリスニングやスピーキング(真似をする)の力はたしかにつくと思う。楽譜ができるまではいかないが、音まねができる。基本的に赤ちゃんが言葉を覚えるのも音まねから始まるのと一緒で、語学のその基本的なまねの性格さがおそらく、音楽のレッスンを受けている人とそうでない人では格段に違うのではと思う。

ということで、こんなにピアノ習うのっていいことなのだが、「生きた英語」みたいな言葉があるように、さらにわたしは「生きた音楽」をもっと教えたいと思う。

その「ピアノが弾ける」スキルが、必ず人生の役に立つことがあるように。音階も「ハ長調」なんかよりも「C major」と教える方がいいだろうし、ハノン的な練習よりももっとコード感を教える方が役立つだろうなと。一生音楽と付き合う、どこかでやめても、どこかで帰ってきたらいいじゃない。別に音楽が敵になることなんて普通に生活しているとないんだから。ずっと音楽がどこかで自分自身の「力」になるように、教える方法ってあると思うし私自身ももっと実践できるんじゃないか。

そんなことをぼやぼやと考えながら、今週もピアノっ子たちをレッスンした。最近心なしか「これ弾けんねん」と耳コピしてなんとなく右手で弾いてくる生徒さんが増えてきた、ような気もする。

クレモナ音楽教室

大阪府 池田市にある、現役のプロフェッショナルのプレイヤーによる ピアノ・オカリナ・フルート・ファゴット・ホルンの音楽教室です。 「一生を通して、音楽を楽しむ方法」を一緒に学び育てていきます。 幼児から大人まで、幅広い年齢層の皆さんに、 「音楽を演奏するよろこび」を体感していただいております。 クラシックを基礎に様々な音楽ジャンルに対応できるような奏法や技術を指導しています。

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